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鰹節は私たち日本人の暮らしには欠かせないものです。鰹節が古来から日本の味覚、旨味を担ってきたといってもいいでしょう。

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●本枯節は時間をかけてカビ着けと天日干しを繰り返し熟成させてゆく。

和銅五年(七一二)太朝臣安萬侶によって献上された日本最古の歴史書「古事記」の中に、雄略天皇が国見の途上「その堅魚(かつお)を上げて舎(や)を作れるは、誰の家ぞ」と従者にたずねるくだりで「堅魚」として登場します。これは「堅魚木(かつおぎ)」の略で、神社や宮殿の屋根の棟木の上に載せた鰹を象った木のことですが、鰹とはもちろん生の魚ではなく乾燥させた、今日でいう鰹節だと考えられるでしょう。つまり鰹節は千三百年以上も前から存在していたのです。

長い歴史の中で、鰹節が飛躍的な発展を遂げるのは江戸時代宝永年間のこと。それまで煮て天日で干すだけだった製法が、紀州の漁師によって、煮て燻しその上で乾燥するという製法に改良されました。燻すことで長期保存のための殺菌効果が確保されると同時に、いま私たちが味わっている鰹節本来の香ばしさと深い旨味が生まれました。

その製法は宝永四年(一七〇七)ここ枕崎に伝えられ、以来三百年以上当時のまま守り伝えられています。

いま日本からほんとうに日本的なるものが消えようとしています。「食」の世界でも、古いけれどいいものがどんどん打ち捨てられ、新しいけれど特徴のない便利なものだけがもてはやされているような気がします。

私たち的場水産はそんな風潮に抗いながら三百年の時間を重ねてきました。

鰹節とともにあった枕崎の三百年は、単なる時間の堆積ではなく、鰹節という日本の食文化の根幹をなすものを守り伝えてきた歴史そのものなのです。

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