カツオの港、枕崎の賜物

枕崎の鰹節、その原材料となるカツオは、赤道をはさんだ北緯四〇度から南緯四〇度までというかなり広い範囲の太平洋を群れをなして移動する回遊魚です。

nyusatsu

●年に1回開催される「さつま鰹節産地入札即売会」。
全国からバイヤーが訪れ会場は熱気に包まれる。

日本近海には夏にかけて北上するため、夏の到来を告げる風物詩的に「初鰹」と珍重されています。北限は三陸沖あたりで、秋にかけて南の海に戻りますが、もどってゆくカツオを「戻り鰹」とよばれ、「初鰹」とはちがう脂の乗った濃厚な味が喜ばれています。

枕崎のカツオ漁は、宝永四年に鰹節の製法が伝えられる遥か前からだったと想像できます。

帆船が主だった明治後半頃までは主な漁場は沖縄近海でしたが、漁船の近代化とともに次第に漁場を拡げ、遠く赤道直下の海域で一年中カツオを追うことができるようになりました。さらに現在のように船内での急速冷凍が可能になってからは、それまで漁場近くの港に水揚げされ保存可能な段階まで加工されていましたが、遠く太平洋の赤道周辺で捕らえられたカツオも直接枕崎港に水揚げされるようになりました。

現在枕崎は静岡県焼津とともに全国のカツオ漁を担うとともに、日本一の鰹節産地としてその名を知られています。

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